求人広告が与える誤解

ぽっちゃりとは、いたって普通の女性の体型

1990年頃からは、男性向けの風俗情報誌にも、女性向けの風俗アルバイト情報誌にも「ぽっちゃり風増」が当たり前のように掲載されるようになった。
当時の一大ブームである「ブルセラ」ほどではないが、「デブ専」も一般的な性癖のジャンルとして定着したと言える。
あるブームが世間に受け入れられると、誤解を与える表現をするのがマスコミの悪い所であるが、ぽっちゃり体型というイメージもマスコミや一部の風俗店によって大きく捻じ曲げられてしまった。
本来の「ぽっちゃり体型」とは、モデル体型のようなストイックなまでに美化された女性ではなく、またポルノ女優のように過度に整形された体型でもなく、一般的ないわゆる素人っぽさのある体型を指しているのだ。

太っているほどに稼げるという誤解

ぽっちゃりブームが起こると、風俗店の中には安易に他店と差別化を図りたいと考え、太っていればいるほど人気になるのではないかと、間違った方向へと進むお店も少なくない。
そして、女性向けの求人広告にかつては見られなかった表現が増え始めるのである。
その代表例が「100kgオーバーの女性こそ稼げます」という文言だろう。
ぽっちゃり=デブという誤解確かに女性が太っていれば太っているほど魅力的に感じる男性がいるのは事実である。
しかし、それは本来のぽっちゃり好きの男性とは異なるということも理解しておかないといけない。
多くの男性が風俗店で巨漢の女性と遊ぶ際には、言わば怖いもの見たさであって一過性のものである。
決してリピーターになる可能性は高くない。
フリー客が一巡してしまえば、思ったほどに指名客が残らなかったとしても何ら不思議ではないのだ。
しかし気付けば、ゆうに100kgを超える関取のような女性の写真が求人広告に掲載されたり、男性向けの情報誌でグラビアを飾るようになり、ぽっちゃり=デブの女性というイメージが定着してしまった。
さらには最初から安易な発想から始まったぽっちゃり専門風俗店であるから、求人広告においてもいかに体重の重い女性を採用出来るかしか考えていなかったことにも問題がある。
ライバル店に100kgの風俗嬢がいるなら、自分の店では110kgの風俗嬢を用意しようと、体重の重さの競争が始まってしまったのである。
風俗店のスタッフも目先の体重の重さばかり追いかけているから、肝心の風俗嬢の接客サービスには気も向けず、半人前の接客技術だけを持った風俗嬢が量産されたのである。
風俗店とは、あくまでもサービス業であるのだから、いかに外見的な魅力を備えた女性であっても、客に不快な思いをさせないだけの接客技術は必要である。
このような背景も、指名客を獲得出来ずに閉店していった多くの風俗店が犯した過ちと言えるだろう。
そもそも「ぽっちゃり」という概念が産まれた経緯は、以前に書いた「性別による体型の捉え方の違い」でより詳しく説明しているので、興味がある人は是非読んでみて欲しい。

ぽっちゃり体型のイメージの改善

今でも100kgを超える風俗嬢を揃えた風俗店は存在している。
しかし、東京や大阪のような大都市を除けば、各都道府県に1店舗でもあれば十分という規模に落ち着いている。
これも、デブ専と呼ばれる巨漢女性を好む男性の数がそれほど多くはなかったということの表れだろう。
そんな中、2000年代に突入すると、ぽっちゃり体型への偏見が改善されつつある。
この流れは風俗店ではなく、一般社会から起き始めているのも特徴だ。
ぽっちゃり限定アイドルも登場現在ではぽっちゃり女性をターゲットとしたファッション誌の創刊や、自ら「ぽっちゃり」を名乗るアイドルまで登場してきており、以前よりもポジティブな意味で使われだしているのである。
さらには、かつての「ぽっちゃり=デブ」というイメージから、少しふっくらしている程度の女性を指す言葉へと変わり始めてもいる。
まさにぽっちゃり体型というイメージが、正しい認識の下で多くの女性の元へ帰ってきたのである。
そして新たな面としては、30歳や40歳を過ぎた女性にとっては、ぽっちゃり体型であることが当たり前となり、少し崩れた体のラインが性的により魅力的であると感じる男性も増えてきているのである。