風俗業界は男女の性差が残る数少ない仕事の一つ
世の中にある多くの業種や職種において、男女の性差が減少傾向へと向かっている中、風俗業界は数少ない性差が残る産業であるだろう。
もちろん仕事の内容から考えても、この性差が無くなることは無いだろう。
女性は男性よりも筋肉量が低いことは身体的に当然のことであるので、求人情報を探すに当たってもリスクヘッジしなければいけないことや、考えなければならないことが多いのが現実だろう。
いくら風俗店で働くことを考えた所で、躊躇する気持ちも理解できるし、客としても風俗店を利用したことのない女性であれば分からないことだらけであることも当たり前だろう。
そう考えれば世の女性の中で風俗業界へ足を踏み入れたことがある人が多くないことは容易に想像できるはずだ。
アダルトメディアにおける「ぽっちゃり」の定義
前回、風俗のぽっちゃり店では標準体重の女性が多く働いている現状をお話ししたが、風俗業界を扱うアダルトメディアにおける「ぽっちゃり」の定義とはどのようなものだろうか。
アダルトメディアと言えば、男性向け風俗情報誌を始め、風俗店の営業用サイトも含まれるが、ここで言われる「ぽっちゃり」についても一般的なイメージとは異なる点を意識しておかなければならない。
そもそも、男性向けのアダルトメディアでは「ぽっちゃり」という単語は出てこないことがほとんどだ。
何故なら「ぽっちゃり」というワードは「デブ」に置き換えられるからだ。
女性誌などでは忌み嫌われる「デブ」という言葉も、男性誌では積極的に使われ「デブ専」という太った女性を好む男性を指す専門用語もある。
こと女性誌においては、「太め」や「体重増加」などは避けるべき課題であり、毎月どこかしらの女性誌がダイエット特集を組むなど、女性にとっては「痩せること」こそが最大の目的であると言っても過言ではないだろう。
その反面、男性誌では太っていることをオブラートに包む必要は無い為に、より直接的な表現である「デブ」と言い換えられるわけだ。
しかし、ここで一つの疑問が生まれる。
それは「ぽっちゃり」と「デブ」は同義なのか?ということだ。
結論から言うと「ぽっちゃり」と「デブ」は同義ではない。
特に男性誌においては明確な違いがある。
デブの場合は百貫デブという言葉がある通り、極度に体重の重い人を指し、ぽっちゃりとは一般的な体重の人から標準体重より少しだけ重い人を指している。
その反面、女性誌においては太っている女性を細かくカテゴライズされることを避ける為に、極度に体重の重い人から少しだけ体重の重い人を一括りにしてぽっちゃりと呼んでおり、デブと呼ぶことは無い。
「ぽっちゃり」という言葉の起源
そもそも男性誌やアダルトメディアにおいて、「ぽっちゃり」という単語が現れたのは1980年代の後半であるとされている。
当時はレンタルビデオ店が日本全国に乱立し、アダルトビデオが何万円も出して購入するものから、数百円でレンタルする時代へと変わっていった時代である。
その結果、1本当たりの売り上げに差が出始め、AVメーカーも1本当たりの撮影単価を抑える傾向が強くなっていった。
その内に、製作費を抑える為にも1度の撮影で複数のビデオを作成したりと試行錯誤を重ねた結果、アダルトビデオの作品本数が右肩上がりに増え続けたのである。
こうして作品数が増えると、次に起こるのはジャンルの多様化である。
当初は名の売れたAV女優が出演するだけのパターン化された内容であったものが、各社で差別化を図った趣向の凝らされた作品が多数出来上がっていったのである。
その差別化の一つに「ぽっちゃり」も含まれている。
特に人気のあった新ジャンルと言えば、やはり「素人もの」だろう。
誰もが知っている有名女優ではなく、よりリアリティを感じる無名の女の子が出演するアダルトビデオの人気が爆発的に広まったのである。
かつてのアダルトビデオは非日常の世界であったはずが、素人ものの登場により隣近所に住んでいそうな女性にスポットを当てることで日常へと意識の変化が起きたのである。
そうすると、多くの人が感じる親近感のある女性像は、有名女優のように容姿に優れた女性ではなく、愛嬌があり少しくらいはスタイルの悪い女性が好まれるようになった。
つまりは、モデルやグラビアアイドルのような体型よりも、少しぽっちゃりしているくらいの女性の方がリアリティが増すことになったのである。
こうして「ぽっちゃり」という概念が一般化し、そのカテゴリーの中での程度を表す「デブ」という表現も一般化されていったのである。