性産業における顧客層
性産業には風俗店を始め、アダルトビデオやエロ本なども含まれているが、インターネットの発達によりビジネスとしての形が変わってきている。
特にアダルトビデオ業界では、スマートフォンの普及により、多くの人が手軽にインターネットを閲覧出来るようになったことで、違法動画サイトの利用が急速に増えたのである。
違法動画の閲覧は、多くの場合が無料である。
その為、レンタルビデオショップのようなたった数百円という値段であったとしても、お金を払ってまでアダルトビデオを借りようとする顧客数が激減してしまっている。
当然、提供元であるビデオメーカーも収益化に四苦八苦しており、本来はあったはずの売り上げに大打撃を受けているのが現状だ。
そんな中で、従来通り性産業に対して対価を支払い続けているのが40歳以上の男性である。
現在は彼らこそがメインの顧客層となっており、週刊誌などの読者層は団塊の世代であるとも言われている。
風俗店に限って言えば、30歳から40歳前半の男性はいわば若手であり、20代の男性は性産業を支える中心層とは程遠い存在と言わざるを得ない。
性風俗産業にまで高齢化の波が押し寄せている今、人気を集めている風俗店が「熟女」や「ぽっちゃり」のコンセプト店になっている。
客の高齢化が風俗嬢の高齢化を招く
一般的に「熟女」とは、中年を指す「熟年」から派生した言葉であるので、40歳以上の女性をイメージすると思うが、風俗業界では30歳以上の女性を指すカテゴリーとなっている。
以前の風俗業界では、若い女性が中心であった為、風俗嬢=未婚の女性というイメージが当たり前だった。
長い間、「風俗は若くないと稼げない」と言われ続けてきたが、現在では「熟女」や「人妻」といった既婚を前提とした女性が多く活躍するように変わってきている。
この点についても、風俗店を利用する顧客層が40歳以上の男性であることが関係しているように見える。
若い女性を好む男性は多いが、ただ若ければ良いというものでも無い。
つまりは、自分よりも若い女性であって、男性自体の年齢が上がるにつれて魅力的に感じる女性の年齢も上がるものなのだ。
自分の年齢と20も30も離れた女性は、もはや子供にしか見えずに女性として捉えられなくなる傾向が強い。
その為、高齢の客の人気は30歳以上の女性に集まりやすいのである。
また、男性は年齢が高くなるにつれて、平均年収も高くなるので、風俗店のように値段の掛かる遊びに遣えるお金も多くなる。
反対に不況が長引く中で社会人となった若年層は、自由に使えるお金も少ないので、風俗の利用頻度も少なくなる。
こうして風俗店も若年層に人気の出やすい女性よりも、熟年層に人気の出やすい女性を多く採用するようになるのである。
そして、単純に働く機会の多い30歳以上の風俗嬢が高収入を稼ぎやすくなっているのだ。
加齢による体型の崩れ
女性であれば加齢とともに体型が崩れやすくなり、若い頃の容姿をキープし続けることが難しくなる。
その為、ぽっちゃり体型の風俗嬢が多くなってきてしまうのは避けられない。
しかし、客も風俗嬢も年齢層が高ければ、若年層にありがちな「相手への期待度」が下がり、かつての美人やモデルのような体型への憧れは薄れているケースが多い。
こうして、以前では風俗で稼げなかったであろう人材でも十分な収入を得ることが可能になり、風俗嬢になる為の間口がぐっと広がったのである。
「ぽっちゃり」と言っても、みんながみんなデブと呼ばれるほど太っている訳では無く、あくまでも一般的に歳を重ねた女性をイメージしてもらって構わない。
30歳以上の女性になると、風俗店の面接で「私みたいな女でも働けますか?」という質問をする確率が格段に高くなるそうだが、このような背景をよく表していると言えるだろう。
読者の中には、体型のせいで不採用にされたという経験を持った人もいるだろうが、試しにインターネットで「熟女」「風俗で働ける」といったキーワードで検索してみると良いと思う。
きっと、あなたの誤解は氷解し、自分のことを必要以上に卑下していたことに気付くことだろう。